脱毛器のランキングサイトなどで脱毛クリームの特徴などを比較してみると良いブログ:2018/3/09
引っ込み思案な子供だったわたくしが、
小学5年生のときに、学芸会の劇の主役を演じることになった。
それはわたくしにとって、大きな事件だった。
「絶対見に行くからね!」
いつも明るい母が言った。
わたくしが世界で一番喜ばせたい相手がこの母であった。
当時、我が家は裕福とは言いかねる状況でしたが、
それでも父と母は一生懸命働いて、
わたくしたち兄弟三人をどうにかこうにか育ててくれていた。
当日、わたくしは熱演した。
ダンボールの帽子を被り、
思春期の入り口に差し掛かった子供には少々照れくさい
「泣く」という演技もこなした。
家に帰るなり、
母が「すっごく良かった!あんたが一番上手だったよ!」と、
それはもう手放しで絶賛してくれた。
しかしその24時、
年子の兄の言葉によって、わたくしは事実を知る。
「一番上手!」どころか、
母はわたくしの「熱演」を見てもいなかったのだ。
兄は学芸会の運営委員で、
体育館の戸口を開閉する係をしており、
わたくしの出番の時は、兄も母を待ち構えていたのだが…
「幕が開いても母さん来なかった。
お前の出番が終わって、幕が閉じてる最中にあわてて入ってきたんだよ」
母の居ないところで兄は言った。
わたくしはがっかりした。
先生にでも級友にでもなく、母に捧げた演技だったのに…
見てもらえなかったことは悲しかったが、
母への失望や怒りは沸いてこなかった。
ただ、
いつも物を入れすぎて
不格好になっている仕事用の鞄をブラ下げ、
息をきらしながら、
慌てて体育館に向かっている母の姿が浮かんだ。
仕事をこなしながらも
きっと24時間中わたくしのことを考え、
精いっぱい調整して、それでも間に合わなかったのだ。
母こそ、本当は泣きたかったに違いない。
「熱演」をしたのは母の方だったのだ。