電気シェーバーを持っていないのでしたらエステサロンに行く前に予め買っておくと良いでしょうブログ:2014/5/09
引っ込み思案な子供だったボクが、
小学5年生のときに、学芸会の劇の主役を演じることになった。
それはボクにとって、大きな事件だった。
「絶対見に行くからね!」
いつも明るい母が言った。
ボクが世界で一番喜ばせたい相手がこの母であった。
当時、我が家は裕福とは言いかねる状況でしたが、
それでも父親と母は一生懸命働いて、
ボクたち兄弟三人をどうにかこうにか育ててくれていた。
当日、ボクは熱演した。
ダンボールの帽子を被り、
思春期の入り口に差し掛かった子供には少々照れくさい
「泣く」という演技もこなした。
家に帰るなり、
母が「すっごく良かった!あんたが一番上手だったよ!」と、
それはもう手放しで絶賛してくれた。
しかしその20時、
年子の兄貴の言葉によって、ボクは事実を知る。
「一番上手!」どころか、
母はボクの「熱演」を見てもいなかったのだ。
兄貴は学芸会の運営委員で、
体育館の戸口を開閉する係をしており、
ボクの出番の時は、兄貴も母を待ち構えていたのだが…
「幕が開いても母さん来なかった。
お前の出番が終わって、幕が閉じてる最中にあわてて入ってきたんだよ」
母の居ないところで兄貴は言った。
ボクはがっかりした。
先生にでも級友にでもなく、母に捧げた演技だったのに…
見てもらえなかったことは悲しかったが、
母への失望や怒りは沸いてこなかった。
ただ、
いつも物を入れすぎて
不格好になっている仕事用の鞄をブラ下げ、
息をきらしながら、
慌てて体育館に向かっている母の姿が浮かんだ。
仕事をこなしながらも
きっと1日中ボクのことを考え、
精いっぱい調整して、それでも間に合わなかったのだ。
母こそ、本当は泣きたかったに違いない。
「熱演」をしたのは母の方だったのだ。